築古戸建のオーナーチェンジ物件、私は買わない。その一番の理由

主に不動産投資家向けになりますが、楽待や健美家などを見ていると「オーナーチェンジ物件」が売られています。

オーナーチェンジとは、すでに入居者さんがいる状態で売買される物件のこと。

入居が続いていれば、購入後にリフォームや入居者募集をする必要がなく、決済後すぐに家賃収入を得られます。

私も区分マンションで、1件だけオーナーチェンジ物件を購入したことがあります。

では、築古戸建のオーナーチェンジだったら?

今の私は、基本的に買わないと思います。

実際に自分で築古戸建を購入し、修繕する側になったことで、その理由がはっきりしてきました。

区分マンションのオーナーチェンジは購入した

私が購入した区分マンションも、すでに入居者さんがいる物件でした。

購入した理由はシンプル。

空室で売られている同じマンションの物件より安かったからです。

売却理由を不動産会社に聞いたところ、売主さんはすでにある程度利回りを回収できたため、売却するとのことでした。

もちろん入居中なので、室内を見ることはできません。

そこで購入前に、建物と入居者さんについて確認できる情報は確認しました。

建物については、

・修繕積立金がある程度貯まっている
・修繕積立金などの滞納が少ない
・大規模修繕を終えたばかり
・外壁や玄関ドア、ベランダなどがきれいになっている

といった状態。

入居者さんについても、

・マンションの規定上、いわゆる反社会的勢力の入居は認められていない
・管理費修繕積立金の滞納なし

・男性の一人暮らし

など、事前に確認できる情報がありました。

自分でも現地へ行き、外観や玄関、ベランダの様子などを確認。

条件が揃ったので購入しました。

区分マンションの場合、専有部分を見ることができなくても、建物全体については管理組合の資料や大規模修繕履歴、修繕積立金など、判断材料があります。

この物件は実際に購入し、その後も所有しています。

でも築古戸建は、同じようには考えられなかった

その後、私は築古戸建を購入して、自分で修繕するようになりました。

そこで分かったのが、

築古戸建は、同じような築年数でも中身が驚くほど違う

ということ。

築40年、50年と経っていれば、それまでどんな使われ方をして、どんな修繕をしてきたのかで状態は大きく変わります。

不具合が出たところだけ最低限直してきた家。

プロに依頼して、長く使えるように修繕してきた家。

オーナー自身がDIYで少しずつ手を入れてきた家。

どれも完成後の見た目だけでは分からない部分があります。

そしてオーナーチェンジの場合、入居者さんが住んでいるため室内を確認できないことがあります。

今の私には、これがかなり大きなリスクに見えます。

私が一番怖いのは「見えないこと」

私が築古戸建のオーナーチェンジを買わない一番の理由。

それは、

建物の大事な部分を、自分の目で確認できないこと。

築古戸建を実際に修繕するようになって、見た目がきれいなことと、建物の状態がいいことは別だと感じるようになりました。

床下はどうなっているのか。

基礎や土台に気になるところはないか。

柱は大丈夫か。

過去に雨漏りした形跡はないか。

水回りの見えない部分はどうなっているのか。

どこまで修繕され、どこが古いまま残っているのか。

表面がきれいでも、大事な基礎部分などに問題が隠れている可能性はあります。

空き家なら、自分で確認できます。

分からなければ、詳しい人や業者さんに一緒に見てもらうこともできます。

状態を確認して、

「ここは直した方がいい」

「ここはまだ使える」

「この修繕費まで含めると、この価格では買えない」

と判断することもできます。

でも入居中のオーナーチェンジでは、それができない場合があります。

もちろん、現在入居者さんが問題なく暮らしていることは、ひとつの安心材料です。

ただ、

今住めていることと、この先も大きな修繕なく使えることは別。

私にとって怖いのは、不具合があることそのものより、

「どんな状態なのか分からないまま買うこと」

です。

築古戸建の修繕は予定通りにいかない

実際に築古戸建を直していると、予期せぬ修繕が出てくることがあります。

予算の関係で、修繕できる範囲が限られることもあります。

床を剥がしたら想像以上に傷んでいた。

設備を交換しようとしたら、その周辺にも問題が見つかった。

ひとつ直したら、その先にも修繕が必要だった。

予定していた修繕予算をオーバーすることも珍しくありません。

そうなると当然、

「今回はここまで」

という判断も必要になります。

これは悪いことではありません。

賃貸経営である以上、使える予算には限りがあります。

ただ、その「どこまで直すか」という判断基準は、オーナーによって違います。

一生懸命DIYした家=安心とも限らない

オーナーさん自身が、精魂込めて修繕している物件もあります。

私自身DIYをするので、その大変さはよく分かります。

ただ、

一生懸命直したことと、その修繕が長持ちすることは別問題。

DIYの技術も違えば、材料の選び方も違います。

どこまで自分でやって、どこからプロにお願いするのか。

その判断基準も十人十色です。

私自身も経験を重ねる中で、

「これは自分でできる」

「ここからはプロにお願いしよう」

という線引きが変わってきました。

だからこそ、他の人が直した築古戸建を、室内を十分確認できない状態で買うことに慎重になりました。

見えないところのコストは、いくらでも削れる

築古戸建は、やろうと思えば修繕費をかなり抑えることもできます。

特に怖いのが、完成後には見えなくなる部分。

極端な例ですが、床下に残置物などを残したまま、その上から床を作ってしまうことだってできてしまいます。

完成後は、普通のきれいな床に見えるかもしれません。

でも床下の通気が悪くなれば、湿気がこもりやすくなり、長い目で見れば建物を傷める原因になる可能性もあります。

壁も床も、閉じてしまえば中は見えません。

これは誰かが悪意を持っているかどうかだけの話ではありません。

良心的なオーナーさんが一生懸命直していても、施工方法が適切だったかどうかは別。

プロに依頼していたとしても、過去のすべての修繕履歴が残っているとは限りません。

築古である以上、前のオーナーさん自身も知らない不具合が隠れている可能性もあります。

だから私は、

「前のオーナーさんを信用できるか」だけでは判断できない

と思っています。

「入居中=安心」とも限らない

オーナーチェンジ物件の魅力のひとつが、すでに入居者さんがいること。

購入直後から家賃が入るので、空室を買うより安心に見えます。

ただ、ここにも少し違う見方があります。

たとえば、修繕費をできるだけ抑えて入居できる状態にする。

入居実績を作ったところで、オーナーチェンジ物件として売却する。

購入後もそのまま長く住んでもらえれば問題ありません。

でも、もし購入してすぐに退去したら?

そこから初めて室内を見て、大きな修繕が必要だと分かったら?

結局、自分で修繕費を出して、もう一度入居者さんを募集することになります。

もちろん、すべてのオーナーチェンジ物件がそうだという話ではありません。

ただ、

「現在入居中」という事実と、その家自体の収益力は分けて考えた方がいい。

私はそう思っています。

今の入居者さんが退去したあとも、同じような家賃で次の入居者さんが見つかるのか。

その前に、大きな修繕が必要にならないか。

そこまで考えて購入したいところです。

オーナーさんと話して分かることもある

築古戸建を始めてから、いろいろなオーナーさんと話す機会も増えました。

すると、

「この人が所有していた家なら買ってみたい」

と思う人と、

「私はちょっとやめておこう」

と思う人が、かなりはっきり分かれることがあります。

どこを修繕したのか。

なぜそこを直したのか。

どんな業者さんに依頼したのか。

DIYなら、どこまで自分で施工したのか。

過去にどんな不具合があったのか。

こうしたことをきちんと説明してもらえる物件なら、判断材料は増えます。

それでも最後に残るのが、

自分の目では確認できない部分。

ここが、私にとっては大きいです。

私なら築古戸建は空き家で買う

実際に修繕する側に回ったことで、私の中ではひとつの軸ができました。

築古戸建なら、私は空き家の状態で購入したい。

空室なら、自分の目で室内を見ることができます。

床下を確認する。

水回りを見る。

雨漏りの跡を探す。

必要なら業者さんにも見てもらう。

そのうえで購入し、自分が納得できるところまで修繕してから入居者さんを探す。

もちろん、こちらの方が手間はかかります。

修繕費も先に必要です。

入居者さんが決まるまでは家賃も入りません。

それでも、これから長く所有するなら、

自分で状態を把握している家の方が私は安心できます。

オーナーチェンジには、購入直後から家賃が入るという大きなメリットがあります。

修繕履歴が明確で、状態を十分把握できる物件なら選択肢になることもあるでしょう。

ただ築古戸建の場合、私は現在の家賃や表面利回りだけでは判断したくありません。

見るのは、

その家がこれまでどう直されてきたのか。

今、見えないところに何があるのか。

そして今の入居者さんが退去したあとも、その家で賃貸経営を続けられるのか。

築古戸建は「悪いところがある」ことより、「悪いところがあるかどうか分からない」方が怖い。

だから私は、築古戸建なら空き家で購入し、自分の目で確認してから修繕する方法を選んでいます。