決済が終わると、いよいよ物件のオーナーです。

近隣への挨拶、残置物撤去、掃除、修繕、草刈り。

築古戸建を購入した直後は、とにかくやることがたくさんあります。

「あそこも直さなきゃ」
「まず残置物を捨てなきゃ」

と、目についたところから手をつけたくなります。

私も最初はそうでした。

でも、何軒か築古戸建を経験した今なら、最初にやることはかなり明確です。

それは、

まず、人が安心して作業できる環境をつくること。

特に後回しにしないほうがいいと感じているのが、電気・水道、そしてトイレです。

1.まず近隣へ挨拶する

鍵を受け取ったら、早い段階で近隣へ挨拶します。

これから残置物を運び出したり、草刈りをしたり、DIYをしたり。

人や車の出入りも増えます。

特に築古戸建では、しばらく空き家だった物件もあります。

「新しい所有者が来たんだな」

と分かってもらう意味でも、私は最初に挨拶するようにしています。

2.電気・水道を開栓する

最初の頃、意外と分からなかったのが電気です。

恥ずかしながら、

「通電って、どうしたらいいの?」

というところからのスタートでした。

遠方物件だったこともあり、

「ちゃんとブレーカーを落としたかな」
「通電したときに何か致命的な不具合があったらどうしよう」
「万が一、火災になったら……」

など、必要以上に不安になっていました。

そのため、通電前にはブレーカーの状態を確認し、可能な限り立ち会える状況で電気を使い始めるようにしました。

当時はまだ電動工具も持っていなかったので、電気が必要だった一番の理由は照明です。

雨の日や夕方になると、古い家の中は想像以上に暗くなります。

一人で作業していると、この「暗い」というだけでも結構怖い。

今となっては、

なぜもっと早く通電しなかったんだろう。

と思います。

水道も同じです。

掃除をするにも、手を洗うにも、トイレを使うにも水は必要。

本格的なDIYを始める前に、電気と水道は使える状態にしておきます。

3.人が歩く場所を確保する

次に、玄関から室内まで安全に歩ける状態をつくります。

家中をきれいにする必要はありません。

玄関周り。

隣地との境界付近。

室内の通路。

人が歩く場所にある草や障害物を取り除きます。

築古戸建では、残置物が大量にあることもあります。

でも最初から全部片付けようとすると大変です。

まずは、

安全に出入りできる道をつくる。

それだけでも、その後の作業がかなり楽になります。

4.トイレは絶対に後回しにしない

これは、過去の自分に一番言いたいことです。

最初に経験した遠方物件では、トイレをしばらく放置していました。

なぜなら、

とにかく怖かったから。

ホコリ。

カビ。

虫の死骸。

現役の蜘蛛が多数。

蜘蛛の巣も多数。

使われていない清掃用品やトイレットペーパーなども置かれたまま。

しかも、汲み取り式のトイレでした。

一人でその空間に入る勇気がありませんでした。

幸い、車で5分ほどのところにコンビニがあったので、毎回そちらを利用していました。

でも片道5分なら、往復10分。

トイレだけを目的に1日1〜2回往復することもありました。

しかも、この状態を最初の5回ほどの残置物撤去が終わるまで続けていました。

今考えると、

どう考えても非効率です。

トイレが使えるだけで、こんなに違った

その後、無事に賃貸利用の許可をもらい、簡易水洗トイレへの工事を依頼しました。

工事が終わると、トイレ空間が一気にきれいになりました。

トイレが怖くない!

これは思っていた以上に大きな変化でした。

さらにクロスまで張り替えると、まったく別の空間に。

安心して使えるトイレが室内にあるだけで、作業中の心の余裕が全然違います。

そしてトイレは、自分だけの問題ではありません。

友人などに手伝ってもらう場合にも必要です。

以前、トイレの扉を取り付ける前に友人の力を借りて修繕したことがあります。

そんなときに限って、急にトイレへ行きたくなる。

ものすごく気まずい(笑)。

それ以来、人に手伝ってもらうなら、なおさらトイレは先に整えておこうと思うようになりました。

5.懲りずに次の物件でもトイレを後回しにした

これだけ経験しているにもかかわらず、次の物件でもトイレを後回しにしたことがあります。

こちらも残置物が積み上げられていて、まずは片付けから始めました。

すると作業中、

上から突然、爬虫類らしきものが降ってきました。

本当にやめてほしい。

古い家で正体の分からないものが突然上から降ってくるのは、かなりの恐怖です。

この物件も早めに業者さんへお願いして便器を新品に交換し、クロスも張り替えました。

すると、まったく別の空間になりました。

やっぱりトイレは大事です。

6.手を洗える場所をつくる

最後に、最低限手を洗える場所を確保します。

築古戸建の作業は、とにかく汚れます。

残置物を動かす。

草を刈る。

ホコリまみれの場所を掃除する。

DIYをする。

そのたびに、すぐ手を洗えるだけでかなり違います。

ここでも最初から水回り全体をピカピカにする必要はありません。

最低限、安心して手を洗える。

まずはそれで十分です。

今なら最初にこの順番でやる

何も知らなかった頃はいろいろ遠回りしました。

その経験を踏まえて、今の私なら物件を取得した直後はこの順番で動きます。

鍵を受け取る
↓
近隣へ挨拶
↓
電気・水道を開栓
↓
玄関周りや隣地境界付近を整える
↓
人が歩く場所の草や障害物を取り除く
↓
トイレを最低限使える状態にする
↓
手洗いができる程度に水回りを清掃する

最初から家中をきれいにする必要はありません。

これから残置物を運び出したり、修繕したりするのですから、どうせまた汚れます。

それより優先したいのは、

安全に、安心して、効率よく作業できる状態をつくること。

玄関から室内までスムーズに歩ける。

暗くなったら照明をつけられる。

汚れたら手を洗える。

そして、行きたくなったときに安心して使えるトイレがある。

地味なことばかりですが、これだけで作業のしやすさは大きく変わります。

築古戸建を手に入れると、どうしても「どこをリフォームしよう」というところに目が向きます。

作業できる環境が整ったら、次に考えるのが「どこまでリフォームするか」です。築古戸建は直そうと思えばいくらでも直せるからこそ、賃貸に必要な部分と、そのまま活かす部分を分けて考えています。私が設備ごとにどう判断しているかは、「築古戸建、どこまでリフォームする?私が交換する設備・残す設備」で詳しく紹介しています。

でも、本格的な修繕を始める前に、

まずは自分や手伝ってくれる人が安心して作業できる環境を整える。

遠回りをたくさんしたからこそ、今ならこれを最初にやります。