築古戸建、買える物件をどう見極める?
最初に私がやったこと
築古戸建投資を始めた頃、先輩から言われたことがあります。
「まずは30件、実際に物件を見た方がいい」
不動産投資の本などでも、似たようなことが書かれています。
たくさんの物件を見ることで、少しずつ良し悪しが分かるようになる。
今になって思えば、これは確かにその通りだと思います。
ただ、私は実際に30件の売り物件を内見したわけではありません。
自分で何件か見に行く一方で、先輩大家さんの物件の修繕を手伝わせてもらいました。
結果的には、これがものすごく勉強になりました。
見るだけより「実際に直す」方が分かりやすかった
物件を内見すれば、
「ここは床が傷んでいる」
「壁が汚れている」
「この設備は古い」
ということは分かります。
でも初心者だった私は、その先が分かりませんでした。
じゃあ、どうやって直すのか。
自分で直せるのか。
業者さんにお願いするのか。
いくらくらいかかるのか。
ここまで分からなければ、その物件が本当に買える物件なのか判断できません。
先輩大家さんの物件を手伝うと、それが全部つながります。
傷んでいる場所を実際に見る。
どう直すのか教えてもらう。
必要な材料を知る。
自分の手で作業してみる。
そうすると次に物件を見たとき、
「これは自分で直せそう」
「ここは業者さんにお願いするところ」
「この程度なら、それほど修繕費はかからなそう」
と、少しずつ想像できるようになります。
私には、ただ何十件も見るより、実際の築古戸建を見て、触って、直す経験の方が強く残りました。
「勉強のためだけの内見」は私はあまりしなかった
物件を見ることが大切なのは間違いありません。
ただ私は、購入する可能性がほとんどない物件を「勉強のためだけ」に何十件も案内してもらう方法は、あまり好きではありませんでした。
案内してくれる不動産会社の方も仕事です。
問い合わせに対応して、売主さんと調整して、現地まで行って、物件を案内してくれます。
もちろん、実際に見てみた結果「買わない」という判断になるのは普通のことです。
でも最初から買うつもりがなく、
「とりあえず勉強のために見せてもらおう」
という内見を何十件も繰り返すのは、私のやり方には合いませんでした。
だから私は、自分で買う可能性のある物件は内見しつつ、経験を積む部分については先輩大家さんの物件で勉強させてもらいました。
築古戸建を触らせてもらえること自体が貴重な経験
先輩大家さんの物件を手伝うことについて、
「タダ働きじゃない?」
と考える人もいるかもしれません。
私はまったく逆でした。
人の所有する家を、初心者の自分に触らせてもらえる。
これって、かなりすごいことだと思います。
作業に慣れていなければ、失敗するかもしれません。
材料を無駄にするかもしれない。
場合によっては、間違えて何かを壊してしまうかもしれない。
そんなリスクがあるのに、
「やってみていいよ」
と経験させてもらえる。
私にとっては、お金を払ってでも教えてほしい内容を、実際の物件で経験させてもらっている感覚でした。
その代わり、自分にできることは一生懸命手伝う。
築古戸建は、物件だけでなく人とのつながりから学ぶことも本当に多かったです。
不動産会社側から見た「安い物件」の難しさ
私自身、不動産会社で働いていた経験があります。
担当していたのは新築戸建の仲介が中心だったので、当時は築古収益物件について詳しかったわけではありません。
それでも、安価な物件を扱う不動産会社側の大変さを感じたことがあります。
価格の安い物件には、とにかく問い合わせが集まることがあります。
でも、
問い合わせが多い=購入希望者が多い
とは限りません。
非常に安い物件になると、
「とりあえず見てみたい」
「不動産投資の勉強として話を聞きたい」
という問い合わせも増えます。
実際に聞いた話では、売主さんが「ほとんどタダでもいいから手放したい」と考えている物件でも、数十万円など極端に安い価格で掲載すると問い合わせが殺到してしまい、対応しきれないため掲載を取りやめたケースもありました。
つまり、
「安く売りたい物件がある=誰でも簡単にネットで見つけられる」
わけではありません。
私も不動産会社勤務時代に戸惑った問い合わせがあった
私自身も、不動産会社に勤めていた頃に印象的な問い合わせを受けたことがあります。
売却物件として区分マンションを掲載したときのこと。
問い合わせ内容は、
「この物件を買って賃貸に出したら、家賃はいくら取れますか?」
さらに、
「この地域の生活保護の住宅扶助はいくらですか?」
「その金額で貸せそうですか?」
といったものでした。
私は売買仲介の立場です。
賃貸経営のコンサルタントでもなければ、その地域の賃貸管理会社でもありません。
当時まだ新人だった私は、
「ここまで私が調べて答えるものなの?」
と、とても戸惑いました。
今なら、買主側が自分で調べて判断する部分だと分かります。
築古戸建を購入するなら、仲介会社に何でも判断してもらうのではなく、自分自身で調べる力も必要だと思っています。
そして「これは買える」と思える物件に出会った
そんなふうに実際の物件を触りながら経験を積んでいくと、少しずつ、
「これは買える」
と思える物件が分かるようになりました。
実際に購入した築古戸建では、残置物も多く、室内もかなり汚れていました。
でも、そこはあまり気になりませんでした。
私が見ていたのは別のところです。
まず、雨漏りがない。
天井にも気になる雨染みがない。
窓やドアの開閉も問題なく、建て付けも悪くない。
さらに、その物件は少し前に屋根を修繕したばかりでした。
売主さんが、その家にこれからも住み続けるつもりで手入れしていたことが分かりました。
見た目はかなり汚れていましたが、建物そのものに大きな問題が見当たらなかったのです。
残置物は撤去すればいい。
クロスは張り替えればいい。
汚れは掃除すればいい。
自分で直せる部分が分かるようになっていたからこそ、表面的な汚さに惑わされずに判断できました。
建物だけではなく、周辺環境も見る
もちろん建物だけで購入を決めたわけではありません。
敷地内に駐車場があり、近隣にも駐車場がある。
スーパーやコンビニが生活圏内にある。
小学校、中学校も近くにある。
多少緑の多い地域ではありましたが、もともと住宅街です。
周辺を見て、
「ここなら普通に家族が暮らせる」
と思えました。
どんなに安い家でも、借りてくれる人がいなければ賃貸経営にはなりません。
建物の状態だけではなく、
「修繕したあと、ここで暮らす人を想像できるか」
も購入判断では大切にしています。
「30件見る」の本当の目的
今なら、最初に言われた、
「まず30件見た方がいい」
という言葉の意味が分かります。
重要なのは、「30」という数字を達成することではないと思います。
たくさんの物件や修繕現場に触れることで、
何が怖くて、何なら直せるのか。
どこにお金がかかって、どこなら自分で対応できるのか。
それを自分の中に蓄積すること。
私の場合、その方法が「30件の内見」ではなく、先輩大家さんの物件を実際に修繕させてもらうことでした。
本を読む。
物件を見る。
人に教えてもらう。
そして実際に自分の手でやってみる。
そうやって少しずつ、
「安いから欲しい」ではなく、「この物件なら自分で再生できる」
という判断ができるようになりました。
築古戸建を始める前に必要なのは、完璧な知識ではなく、自分で判断できる材料を少しずつ増やしていくことなのだと思います。