不動産賃貸業を本業として育てていきたいと思い始めた頃、父の実家の状況が気になりました。
叔父と祖母が二人で暮らしていましたが、二人とも亡くなってから早5年。
実家を出た父は、50年近く実家のことを近所に住む弟夫婦へ任せていました。しかし、その弟夫婦も高齢となり、実家の管理まで手が回っていないように感じていました。
2022年、父が体調を崩し、一時は危篤状態になりました。
幸い奇跡的に回復しましたが、「父が元気な今しか、この家と向き合えない」と強く思うようになりました。
同じ頃、不動産関連を自分の軸として生きていこうと決め、さまざまな資格に挑戦しました。その中で唯一合格したのが賃貸不動産経営管理士です。
空き家問題に関わる仕事を目指す以上、自分の身内が空き家問題に加担する側にはなりたくない。
そんな思いもあり、2024年の春、父と約5年ぶりに実家を見に行くことにしました。
5年ぶりに見た実家
片道約700km。
いつ来ても変わらない景色。
築20数年の実家は、外観だけ見ると相変わらずきれいでした。
「意外と大丈夫そう。」
そう思いながら玄関を開けると、その印象は一変しました。
家の中は、人が5年間入っていなかったことがすぐに分かる状態。
叔父が一人で暮らし、その生活が突然止まってしまったような空間でした。
今でも誰かが生活していそうなのに、人だけがいない。
部屋中には蜘蛛の巣が張り巡らされ、昆虫の死骸もあちこちに残っていました。
一番ショックだったお仏壇
私自身、帰省するたびに泊まらせてもらっていた家です。
懐かしい室内だからこそ、人がいなくなり、手入れもされていない現実がとてもショックでした。
中でも一番胸が痛んだのがお仏壇です。
祖母が施設へ入り、その後は叔父が一人で暮らしていました。
叔父が亡くなり、その後祖母も他界。
葬儀のあと仮位牌を置いた、その時のまま時間が止まっていました。
お仏壇には蜘蛛の巣が張り、長い間誰も手を合わせていない様子でした。
2022年に主人を亡くした私にとって、葬儀が終わったまま時間だけが止まっている光景は、とても他人事とは思えませんでした。
「このままにはしておけない。」
自然とそんな気持ちになりました。
修繕してみようと思った理由
ちょうどこの頃、私は築古戸建の修繕を学び始め、さまざまな物件を見ていました。
父の実家は距離こそあるものの、築20数年。
残置物を撤去し、クロスを張り替えるだけでも、十分きれいになりそうだと感じました。
借地なので、最終的には更地にして返還する家です。
それでも、「もう一度きれいな姿に戻してあげたい。」
こうして、私の人生で一番遠いDIYが始まりました。