空き家再生をしていると、途中で「もうやめたい」と思うことは一度や二度ではありません。

特に苦労したのが、クロス貼りでした。

頭の中では、

「今日はこの部屋を全部貼り終えよう。」

そんな計画を立てて作業を始めます。

ところが現実は、その半分も進みません。

少し貼っては空気が入り、貼り直す。

今度は位置がずれて、また剥がす。

貼った側から剥がれてくる。

さらに、コンセントやスイッチ周りの切り抜きが思っていた以上に難しく、何度挑戦してもうまくいきません。

朝から夕方まで頑張ったのに、部屋を見渡すと、

「えっ、今日これしか進んでないの?」

と愕然とする日も何度もありました。

「もう業者さんにお願いしようかな。」

そう思ったこともあります。

それでも、頭の中ではいつも同じ言葉が浮かんでいました。

「諦めたら試合終了。」

ほんの少しでも前に進めばいい。

そう自分に言い聞かせながら、一枚ずつ貼り続けました。

気が付けば、昨日できなかったことが今日はできるようになり、一週間後にはさらに上達していました。

完成した頃には、クロスを貼る技術だけではなく、

「できないことを一つずつできるようにする力」

が、自分の中に身についていたように思います。


古い消火器との格闘

一番印象に残っている出来事の一つが、30年ほど前に使用期限が切れた古い消火器でした。

物置の奥から2本見つかりましたが、持ち上げようとすると白い粉がふわっと舞います。

「これ、本当に触って大丈夫なの?」

爆発しないか、本当に心臓がバクバクでした。

ネットで何時間も調べ、ようやく古い消火器を引き取ってくれる業者さんを見つけました。

費用は1本1万円

もっと安い業者さんもあったのかもしれません。

それでも、安全に処分したいという気持ちが勝ち、その業者さんへ持ち込むことにしました。

古い消火器なので爆発しないか、車へ積み込むだけでも緊張しました。

そして、無事に引き取ってもらえた時は、大きな荷物を一つ下ろしたような安堵感がありました。

ちなみに、その後別の物件で中身の入ったスプレー缶を約50本処分するために別の業者さんへ依頼した際、

「うちなら古い消火器ももっと安く回収できましたよ。」

と言われました。

思わず、

「もっと早く出会いたかった…。」

と苦笑い。

空き家再生では、このような情報は経験しながら少しずつ増えていきます。

最初は遠回りに感じることでも、その経験は次の物件で必ず役に立ちます。


空き家を直しているつもりが、自分自身も成長していました

空き家再生では、毎日のように初めて経験する問題が現れます。

ゴミの分別。

処分方法。

修繕方法。

道具の使い方。

業者さんへの相談。

分からないことが出てくるたびに調べ、考え、やってみる。

失敗したら、また調べる。

その繰り返しです。

気付けば、

問題を見つけ、解決方法を考え、実際に行動し、改善する。

そんな流れが自然と身についていました。

今では、空き家を再生していたつもりが、実は自分自身の問題解決能力も鍛えられていたのだと感じています。

そして、不思議なことに、自宅の掃除やメンテナンスも以前よりずっと簡単に感じるようになりました。

空き家は、一軒として同じ状態のものはありません。

だから毎回、新しい課題に出会います。

でも、その一つ一つを乗り越えるたびに、家だけでなく自分自身も少しずつ成長していることに気付きます。

完成した家を見たときの達成感はもちろんですが、

「この家を再生した」という経験そのものが、自分にとって一番の財産になっています。