きっかけは境界確認

ある日、管理会社から「お隣さんが連絡先を知りたいそうです」と連絡がありました。

物件を売却するにあたり、境界確認の立ち会いをお願いしたいとのこと。

ちょうど翌日、偶然その近くを通りかかると、お隣さんが業者さんらしき方と話をしていたので思い切って声をかけ、その場で連絡先を交換しました。

その夜、お電話をいただきました。

実家を相続し売却活動をしているものの、なかなか思うように進まず困っているとのことでした。

その後も何度か連絡をいただき、進捗を聞いたり相談に乗ったりするようになりました。

売却が思うように進まない

お話を聞くと、

・お父様が高額で購入された思い入れのある家
・今の不動産業者は売却を依頼したものの、内見はほとんどなくファミレスで半ば強引に話を進められた印象だったこと
・売りに出してからも、進捗報告がほとんどなかったこと

など、不安に感じている点がたくさんありました。

実は他の不動産会社にも相談されていたそうですが、私が隣の家を購入し、自分で庭木を伐採したり修繕したりして、実際に入居者さんが住んでいる様子を見ていたこともあり、「大家としての意見を聞いてみたかった」と話してくださいました。

売る側でも買う側でもない、中立な立場で見てもらえると思っていただけたようです。

その後、その不動産会社との契約は終了し、またゼロから売却活動を始めることになったそうです。

リフォームするとしたら?

後日、「リフォームするとしたら、どんな工事が必要か見てもらえませんか?」とご相談をいただき、私自身の勉強にもなると思い、見学させていただきました。

私が気になったのは、

・床の傷みの補修
・キッチン設備の交換
・クロスの張り替え
・クッションフロアの張り替え
・浴室の塗装
・洗面化粧台の交換
・庭木の整備

このあたりです。

かなり印象は良くなると思いました。

業者さんに依頼すると100〜200万円以上かかっても不思議ではない内容ですが、今の私なら資材代込みでも50万円ほどあれば十分対応できそうという印象でした。

ただ、周辺の売買相場や賃貸相場も調べてみると、リフォームをすれば売値は上げられるものの、その工事費を考えると、最終的な手取りはあまり変わらない、あるいは少なくなる可能性もありそうでした。

そのこともお伝えし、「もう一度検討してみます」となりました。

修繕依頼はお断り

そして後日。

「修繕をお願いできませんか?」

そんなお話までいただきました。

これは本当にありがたいことでしたが、丁重にお断りしました。

自分の物件なら、工事中に予想外のことが起きても、

「ここは自分でやろう」
「ここだけ業者さんにお願いしよう」

と臨機応変に判断できます。

でも、人の物件となると話はまったく別です。

築古物件は、壁を開ければ想定外が出てくることも珍しくありません。

その責任を負えるだけの技術も経験も、今の私にはまだありません。

しかも、お相手は一般のお客様。

私が「大家としてDIYしている人」のつもりでも、お客様から見れば工事を請け負う以上、業者さんと同じレベルの品質や対応を期待される可能性があります。

業者さんであれば工事保険にも加入していますが、私はそうではありません。

リスクを考えると、とてもお受けできる内容ではありませんでした。

大家になったからこその出来事

それでも、大家を始めてから、このような相談を受けるようになったことは、とても嬉しい出来事でした。

少しだけ、「大家として次のステージに進めたのかな」と感じた瞬間でもあります。

……

とはいえ、本音を言えば。

「売るなら、私に安く譲ってほしかったです(笑)」