ずっと昔から疑問がありました。

ずっと放置されている家。
「誰かがどうにかしないのだろうか。」

雑草が伸び放題。
野生動物が住みつく。
蜂の巣ができて歩行者や近隣の方に迷惑がかかる。
朽ちた建物からは、いつ高いところの部材が落ちてきてもおかしくない。

生活している立場からすると、本当に危ない。

一言で言えば、

「家がかわいそう。」

そして生活者としては、正直かなり迷惑です。

「なぜ放置するのだろう。私だったら絶対に何とかするのに。」

そんなことをずっと思っていました。

でも、不動産を学ぶようになって、その考えは少し変わりました。

住宅が建っている土地には、一定の条件を満たすと固定資産税の負担を軽減する住宅用地の特例があります。小規模住宅用地(200㎡以下)では、固定資産税の課税標準が6分の1になる制度もあります。

さらに、

相続人がいない。

相続人が多すぎて話がまとまらない。

時間もお金もない。

施設に入った親が戻ってくるかもしれない。

実際には、さまざまな事情が重なり、簡単には動かせないケースがたくさんあることを知りました。

だからこそ思ったんです。

「せめて、ご縁があった物件だけでも綺麗にして、次の世代へ引き継ぎたい。」

私が初めて購入した築古戸建も、そんな一軒でした。

身内で片付けは始めたものの、あまりにも荷物が多く途中でギブアップ。

庭の雑草は隣接する住宅まで伸び放題。

最初は、

「近所にこんなに迷惑をかけていて気にならないのかな。」

そう思いました。

でも話を聞くと、自分たちの生活で精一杯。

時間もお金も全くかけられない。

施設に入ったお父様が帰ってきて住むかもしれない。

そんな思いもあり、手放す決断ができなかったそうです。

実際に室内を片付け始めると、そこはもう生活空間ではありませんでした。

カビだらけの水回り。

足の踏み場もない床。

たどり着けないキッチン。

「これがテレビで見る空き家問題の現実なんだ。」

そう実感しました。

それでも屋根はリフォームされたばかり。

扉や窓の建て付けもしっかりしていました。

片付けて少し手を加えれば、また誰かが住める家になる。

そう確信しました。

空き家再生をしていると、もっと深い部分に触れることがあります。

家族写真。

お子さんの成長記録。

建築当時の書類。

この家の完成を心待ちにしていた家族の期待や希望が伝わってきます。

謄本を見ると、住宅ローンを組んで購入したことも分かります。

きっと家族みんなで頑張って手に入れた家だったんだろうな、と想像してしまいます。

倉庫には、

農機具。

キャンプ用品。

釣り道具。

DIYの材料。

タイヤ。

消火器。

自宅BBQスペース。

そこには、その家族が歩んできた暮らしと思い出がたくさん残っています。

だから私は思います。

役目を終えた家だったとしても、そのまま朽ちていくのは悲しい。

一度綺麗に整えて、新しい家族へ引き継ぐ。

創建当時、この家の完成を楽しみにしていたご家族も、きっとその方が嬉しいはず。

近所の方も安心して暮らせる。

新しく住むご家族も笑顔になる。

そんな循環をつくれるのが空き家再生だと思っています。

家にも、ご近所の方にも、新しく住むご家族にも幸せになってほしい。

だから私は、一軒一軒丁寧に修繕して、次の方へ引き継ぐこの仕事を心から誇りに思っています。

そして、このブログを読んだ方が少しでも空き家再生に興味を持ち、「自分にもできるかもしれない」と思っていただけたら、とても嬉しいです。