築古戸建で得られたもの
不動産収入だけじゃなかった
私もかつて、
「いつか不動産収入を得てみたい」
という、野望に近い夢を持っていました。
いろいろ調べていく中で知ったのが、築古戸建を購入し、自分で再生して貸し出す方法です。
興味を持って勉強し、実際に物件を購入。
修繕して入居者さんを募集し、無事に家賃収入を得られるようになりました。
当初の目的だった「不動産収入を得る」ということは、結果的に実現できました。
でも、実際に何件か経験した今思うことがあります。
築古戸建で得られたものは、家賃収入だけではありませんでした。
お金の管理、決断力、問題解決能力、交渉、コミュニケーション。
普段の仕事や日常生活にもそのまま使える能力を、短期間で鍛えることができました。
むしろ今では、こちらの方が大きな財産だったのではないかと思っています。
まず必要になるのがお金の管理
物件を買うには、当然お金が必要です。
物件価格だけではありません。
購入時の諸費用があり、その後には修繕費も必要です。
購入して手元のお金がなくなってしまえば、修繕できません。
そのため、
物件をいくらで買うのか。
修繕にいくら残すのか。
予想外の出費にいくら備えるのか。
最初から資金管理が必要になります。
融資を利用して購入する方法もあります。
私は今のところ、融資を受けるために労力を使うより、まず自分で資金を作り、その労力を物件の再生やその先に使う方法を選んできました。
もちろん、ここは人によって考え方が違うと思います。
ただ、現金であっても融資であっても、大きなお金を動かすことには変わりありません。
普段の生活ではなかなか経験しない金額を、自分の判断で動かします。
それだけでも、お金に対する感覚はかなり変わりました。
100%安心できる物件なんてない
物件を買うときは、毎回いろいろな不安が頭をよぎります。
本当にこの物件でいいのか。
価格は適正なのか。
想定以上に修繕費がかからないか。
入居者さんは見つかるのか。
自分の手に負えるのか。
いくら調べても、未来のことまですべて分かるわけではありません。
そして、100%条件のそろった物件もなかなかありません。
どこかの段階で、
「このリスクなら自分で引き受けられる」
と判断し、購入申込をします。
そこから契約、重要事項説明、決済、引き渡し。
大きなお金を動かして、自分の資産として物件を所有することになります。
考えるだけなら何度でもできます。
でも最後は、自分で決めなければ何も始まりません。
築古戸建を始めたことで、調べた上で自分でリスクを取り、決断する経験が一気に増えました。
買ってからが本当のスタート
無事に物件の引き渡しを受けたら、今度は再生が始まります。
ここからが本当のスタートです。
どこを直すのか。
どこまで自分でやるのか。
どこから業者さんへお願いするのか。
どんな資材を買うのか。
どこで買えば安いのか。
いつ作業するのか。
分からないことをどう調べるのか。
ひとつ解決すると、また次の問題が出てきます。
築古戸建は、本当にこれの繰り返しです。
開けてみなければ分からないのが築古戸建
予定通りに進まないこともたくさんありました。
クロスなどを剥がしてみたら、隠れていた部分にシロアリ被害が見つかった。
草を刈ってみたら、その下から大量の残置物が出てきた。
片付けを進めたら、消火器やガスボンベなど、普通に捨てていいのか分からないものが次々出てきた。
そのたびに、
「さて、これはどうする?」
となります。
調べる。
詳しい人に聞く。
役所に問い合わせる。
業者さんを探す。
ホームセンターへ行く。
やってみる。
失敗したらやり直す。
問題が出るたびに、自分で解決方法を探します。
最初はひとつひとつが大事件でした。
でも、それを何度も繰り返していると、
「分からなければ調べればいい」
と思えるようになります。
これは不動産以外でも、かなり役立つ感覚になりました。
「できない」が少しずつ「どうすればできる?」に変わった
最初は、クロスを貼ることもできませんでした。
畳の部屋を自分で洋室にするなんて、考えたこともありませんでした。
天井をどう修繕するのかも分からない。
設備についても知らない。
業者さんの探し方も分からない。
それでも必要になるたびに調べ、教えてもらい、実際にやってみました。
すると、
「私にはできない」
と思っていたものが、少しずつ、
「どうすればできるんだろう?」
に変わっていきます。
全部自分でできる必要はありません。
自分でできなければ、できる人を探せばいい。
その判断ができるようになったことも、大きな変化でした。
修繕が終わったら、今度は「商品」として考える
長かった修繕が終わっても、まだ終わりではありません。
今度は入居者さんを探します。
ここで初めて、自分が再生した家を「商品」として考えることになります。
家賃はいくらにするのか。
どんな人に住んでもらいたいのか。
どんな写真を掲載するのか。
何をアピールするのか。
不動産会社へどのように募集をお願いするのか。
普段の生活で、
「自分が持っているものを、毎月いくらで人に貸すか」
を決めることはほとんどありません。
しかも家賃は月に数万円。
年間にすれば大きな金額になります。
さらに家賃は、将来収益物件として売却するときの利回りにも関わってきます。
自分の判断ひとつが、長期的な収益にも影響します。
人とのコミュニケーションも避けて通れない
築古戸建は、家だけを相手にする仕事でもありません。
たくさんの人と関わります。
不動産会社。
業者さん。
入居者さん。
管理会社。
そして、ご近所の方々。
特に自分で修繕へ通っていると、近所の方と顔を合わせる機会がたくさんあります。
そのとき、
笑顔で挨拶する。
自分が何をしている人なのか伝える。
迷惑をかけそうな作業があれば一言声をかける。
そんな小さなコミュニケーションで、その後の関係が大きく変わることがあります。
私はもともと接客の仕事を長くしてきたので、人とのコミュニケーションや第一印象を作ることには比較的慣れていました。
それでも、大家という立場になると、また違うコミュニケーションが必要でした。
業者さんとのやり取りも立派な経験
業者さんとの関係も同じです。
何をお願いしたいのか説明する。
提案を聞く。
見積もりを確認する。
金額が妥当か判断する。
発注する。
施工後に確認する。
料金を支払う。
何か問題があれば相談する。
相手も人です。
ただ安くしてもらうことだけを考えるのではなく、お互い気持ちよく仕事ができる関係を作ることも大切です。
これを何度も経験することで、交渉や発注、人との付き合い方も少しずつ鍛えられていきました。
次から次へと問題が起きるから、成長する
築古戸建を一軒再生すると、本当にいろいろなことが起こります。
資金を作る。
物件を探す。
購入を判断する。
契約する。
修繕計画を立てる。
DIYする。
業者さんを探す。
資材を調達する。
予想外の問題を解決する。
近所の方と付き合う。
家賃を決める。
不動産会社へ募集を依頼する。
入居者さんを決める。
管理する。
そして、いずれ売却する。
小さな事業をひとつ、自分で最初から最後まで動かしているようなものです。
しかも築古なので、計画通りにいかないこともたくさんあります。
だからこそ、短期間でさまざまな判断をすることになります。
不動産収入以上に得られたもの
最初の目的は、不動産収入でした。
それは今でも大切です。
利益が出なければ、賃貸経営として続けていくことはできません。
でも何件か経験した今、
築古戸建をやって一番得られたものは何だろう?
と考えると、家賃収入だけではないと思っています。
大きなお金を自分で管理する力。
リスクを調べて決断する力。
分からないことを調べる力。
問題が起きたときに解決する力。
人に仕事をお願いする力。
相手と関係を作る力。
自分でできることと、できないことを判断する力。
そして、
「何か起きても、ひとつずつ解決していけばいい」
と思えるようになったこと。
これは不動産だけではなく、仕事や普段の生活でも役立っています。
築古戸建は、小さな経営そのものだった
不動産収入を得たいと思って始めた築古戸建。
実際にやってみると、単に家を買って貸すだけのものではありませんでした。
購入から修繕、募集、管理、そして最後の売却まで、すべて自分の判断につながっています。
問題が起きれば、自分で考える。
分からなければ調べる。
できなければ、できる人を探す。
そして最後は自分で決める。
この経験を短期間で何度も繰り返せることこそ、築古戸建の面白さなのかもしれません。
不動産収入を得るために始めたら、気づけば自分自身の経験値が一番大きく増えていた。
それが、私が築古戸建を続けてきて得られた、一番大きなものです。